Thursday, October 6, 2016

番外編#3:高齢者ランナーについて

私の父はランナーです。

75歳の今も年に数回フルマラソンを5時間以内で完走し、ランナーズマガジンが毎年出す年齢別の全国ランナー100傑の下の方にランク入りもしています。

何よりもすごいと思うのは、父は元からランナーだったわけでなく、60歳で定年退職するまで殆ど走ったことがなかったということです。

退職するまでの父は、どこにでもいるオヤジでした。ゴルフ以外に運動はせず、たくさん酒を飲み、ヘビースモーカーでもありました。お腹にはたっぷり脂肪が乗っていました。その頃はそんなものはありませんでしたが、メタボ検診があれば間違いなく赤信号が点滅していたでしょう。

ところが60歳を目の前にして走り始めました。もちろん最初のうちは、ちょっと走っては歩くの繰り返しだったようです。何しろ、タバコをまだ止められないでいて、休んだときに一服するためのタバコをポケットに入れてジョギングしていたくらいです。

一体全体、何が父を走らせたのかわかりませんが、退職老人ですので時間だけはたっぷりあります。1キロ、2キロ、と少しづつ距離を伸ばし、そのうち5キロや10キロのレースにも出るようになりました。それでも、ゴールした後にタバコを一服していると周りに変な目で見られるんだよなあ、なんてアホな愚痴を口にしていました。

2年ぐらいたって、ハーフマラソンを走るようになった頃には自然とタバコも止めたようです。日々の練習時間と距離もどんどん長くなり、体型もランナーらしく変わっていきました。65歳で初フルマラソンを完走して以来、年に数回ペースで続けています。タイムも6時間以上かかっていたのが、最高で4時間20分まで短縮しています。

75歳の現在、体重は退職前より15キロは軽く、体脂肪率は13~15%。脚なんて筋肉の塊です。

60歳、70歳を超えてからでも人間は身体能力を高めることができるのだという事実を目のあたりにして、我が父ながら「凄い!」としか言いようがありません。

高齢化社会を心配する人は多いですが、その人達は昔のイメージのまま、今の高齢者も相変わらず衰えた老人ばかりだと考えているのではないでしょうか。その気になれば、75歳の父は運動不足の中年オヤジの介護も出来ます。たとえ総人口における7080代の割合が増えたとしても、その中で健康で元気な人達がそうでない人達を助けていけばいいですよね。ランニングは元気な人を増やし、高齢化社会を救います。

イチローの名言に「ポテンシャルだけでやってきた39歳と、いろいろなものを積み重ねて、さまざまなことを考えてそこまできた39歳とを一緒にしないでほしい」というものがあります。このなかの39歳を75歳や80歳に言い換えて恥じることがない高齢者は日本中にきっとたくさんいます。




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